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上質のパウダースノーが、視界を白く塗りつぶす。
薄い壁の向こうから、チェーンソーの駆動音と
その持ち主たる男の悪態が聞こえてくる。
雪煙と見まがう呼気の量がましたこと、
寒気で強張った頬が引き攣れる感覚に、
ジャスティンは自分が微笑んでいることを自覚する。
-あの方が司る、死の世界は
かぎりない静寂と果てのない慈愛の淵であり、
魂はかの地で休息を得る。
したがって、本来、
そこへ至る門扉は、おごそかに、開かれるべきものなのだ。
門が開く瞬間、人は恐怖におののき、苦痛に呻く。
その感情の波は、安らぎの死とはかけはなれたものであるけれど、
だからといって、それらを一連の段階から引き剥がしてしまえるものでもない。
処刑人たる私は、それゆえに刃をふるう。
彼らの痛みが、せめて瞬きの間で終わるように-
ぱん、と、ジャスティンの鼻先で雪の壁が破れ、新たに白煙がたつ。
その破れ目から突き出された拳を右手でいなし、
男の体を雪原に叩きつける。
肉体的には、さほどのダメージはないだろう。
だが、髪も服も雪まみれの濡れ鼠ときては、
内心は穏やかではいられないはずだ。
案の定、男は怒りに歯を剥き、両足に刃を出現させる。
男から一旦距離をおくべく、ジャスティンは後方へと跳んだ。
相手の力量も、ひとつの要因ではあるが、普段なら。
普段のジャスティンならば、距離などおかず、即座に刃を落としただろう。
必要以上に、死に際する崇高な、処刑という行為を、
長引かせることなどしない。
…いまのようには。
-彼らの痛みが、せめて瞬きの間で終わるように。
要らぬ恐怖を、怒りを、かの地へもたらさないように-
両足をバネのようにして身を起した男は、
すぐさま体勢を整え、攻撃に転じてくる。
その刃を紙一重でかわすジャスティンの、微笑みを保ったままの
唇から、吐息がこぼれる。
『ああ、なんということ』
それが何かを憂えてのものなのか、
はたまた、その表情が示すとおり、喜悦によるものなのか。
余人が推し量る間もなく、こぼれたものは雪に溶ける。
『あなたとの戦いを、楽しい、と、思ってしまうなんて』
もしも、
処刑人としての使命感を、武器の本能が上回ってしまったら。
…という…わかりにくい…(自覚済みか)…短編でした!
36話のギリジャスが、枠が2分だろうと、ぶっちゃけOP前座だろうと
あんまり楽しそうに(おもにギリコが…)じゃれてるもんだから、
その画で思わず浮かんでしまった。
いまさらだからBREW篇感想ダイジェスト。
○ミフネVS死人先生…画も流れも質たかすぎてポカーン…
○「仲間を守ってこその死武専生ですから」…目頭熱くなった!
○ばいんばいん博士…マリー先生の涙と、狂気の底の苦悩がせつない
○エイボン…中身はセクスィー魔術師なんだよね
○エルカ可愛い
○ブラックルームの子鬼…たたみかける声調子がたまらない
○35・36話はたまに画のデッサンバランス崩れてたようで残念;
○魂の共鳴!…ピアノの演出があんなに活きるとは…!!
○ギリコ…「イヤホン~」で動揺しすぎ人形技師(*´ェ`*)
○ジャスティン…かんぜんにギリコで遊んでいるきがする
おもいつくままに書きました。
あと、うちのジャスティンがギリコといっしょにいるのって、
ギリコとの距離感が心地いいからだと思う昨今です。
このへんは、話に挿入するのが自分的に難しいところですが。
えろすの書き方を忘れた六花です。
毎度のことながら、…お久しぶりでございます。
六花がモタモタしている間に、ギリジャスサイト様もふえて…
ここはもはや、この世の夏ではなかろうか。
聖剣伝説③なアニメソウル、漸く見ました。
うん、なんか、もう認める。
アニメで六花、ギリコに惚れた(アレッ本編でてないよ?!
あのチャームは言語化不可能だわ。
あと(唐突に)。
死神を頂点におく世界の価値観って、どんなのかなぁと考える。
死神。読んで字のごとく、死を司る(もたらす?)神様。
死を救いと考えるのなら、グ.ノ.ーシ/スが一番近いのかしら。
今日も更新できなさそうなので、バトンだけでも回答いたします…。
まず、鵙さまから頂いていたバトン。
遅くなって申し訳ありません…。
《ルール》
・バトンを回すときは自分がスキだと答えた人に必ず渡すべし
・バトンを回してきた人もスキな人のうちに入れるべし
・年齢を知っていても知らなくても必ず言うべし
・素直に言うべし
◆あなたのスキな人の名前を7人述べよ
・鵙さま
・セイさん
・まりさん
・美桜さん
・matosさん
・300さま
・…… ゛(。_。*)))(((*。_。)"
お世話になっている方、こっそり片思いしている方。
バトンはここでアンカーにするつもりですので、
管理人の思いだけ(もしご覧になられていたら)…
受け取ってください…!!(ある意味で最も有害?(#´ー´)
◆最初に出会ったときの気持ちを述べよ
皆様とても優しくて、話題も豊富。憧れます。
◆年齢を予測せよ
matosさん、セイさん、まりさん、美桜さん、300さまはお姉さん。
鵙さまは、ん~…5つほど年がはなれてるかな…
◆その人と遊ぶなら何をするかイメージせよ
六本木にあるらしい北欧料理店でオフ会(アスガルド系の方々)。
お絵かきを習いながら、まったりお話(ソウル系の方々)。
◆その人からイメージするものを3つ述べよ
・鵙さま→ジャスティン・パステルカラー・北欧
・セイさん→バドシド・幻想世界・美声
・まりさん→バド・大きな羊・本
・美桜さん→アルベリッヒ・鶏の丸焼き・白
・matosさん→ジークフリート・文章・陽だまり
・300さま→ギリコ・センス・モツ
・…… ゛(。_。*)))(((*。_。)"
◆その人に伝えたいことをイメージせよ
いつも萌えをありがとうございます…!
つづいて、セイさんから…本当にだいぶ前に頂いたバトンですm(。_。;))m
~~交流バトン~~
☆このバトンは、管理人同士の交流を深めるためのバトンです☆
ルール
1・回ってきたら、何度でも答えましょう
2・送り返し可能です
3・正直に書きましょう
4・アンカー、フリーは禁止です
●あなたの名前は?
→六花
●送ってきた人の名前は?
→セイさん
●その人はどんな人?
→優しくて、頼れるひと。
●その人のこと好き?
→はい(。-_-。)
●じゃあ今憧れている人の名前は?
→S.te.p.hane L.a.mb.iel
●何でその人に憧れる?
→言葉に、意思に、その腕のひと振りが生む世界に。
●最近話した(orネットで会ったorメールしたor文通)人は?
→弟。つい3分前。
●この人にはかなわない!って人いる?
→銀.色.夏.生
●何で?
→最近、著作を読んだのですが。そのなかに、
『これからの行いによって、過去は変わっていく、より美しく』
…というような詩があって。過去を振り返っては落ち込む自分にはない
考え方に衝撃をうけました。
●じゃあ、次に回す人を次の項目に当てはめて!
可愛い⇒美桜さん。
格好いい⇒セイさん。
ツンデレ⇒保留。
天才⇒該当が多すぎて…
明るい⇒matosさん。
天然⇒保留。
大雑把⇒私ですか…
あてはめさせてはいただきました、が、
…アンカー禁止?…だが断る!ということで、アンカーでいきますm(。_。;))m
完璧にアニメ・ジャスティン登場~はっちゃけギリコ~ギリジャス回の
諸々を逃してしまっているASTRANTIA( ̄u ̄;)
ベスト3だけ述べれば、
①EDに吹いた
②ジャスティンの声がエロイ
③爽やかギリコに吹いた(二回目)
こんなかんじ。偏ってる…!
しかし、なんしか武器化途中のギリコもカッコヨス(*´ェ`*)
かっこよすぎて抱いてしまったギリコの体への疑問。
ギリコ本体はチェーンソー。
アニメ初登場時の変身シーンでは、チェーンのみになって
ゴーレムの手に握られ、そこで完全な鋸の形になってました。
そこで。んん…チェーンのみにも変身可なのだろうか?と。
また、VSジャスティンで日本のチェーンを別個に(体に巻くとかでなく)
出現させ、それを武器として使ってたことから…、
どこか体の一部品を用いて、飛び道具でも使えるよ的なチェーンを
出現させているのか…?と。
六花はガゼン後者がいい。
回転するチェーンソーの刃を、ガガガ!って掴んだゴーレムのあのシーンで
「もうこのチェーンでジャスティンも捕まえたらいい」
とか思った六花は、ガゼン後者がいい。
だって前者だったら、ギリコはチェーンに変身してジャスティンを拘束
しちゃってるわけだから、どうにも動きようがないもんね。
後者じゃなきゃ、身動きできないジャスティンにいろいろしたりできないもんね。
だから六花はガゼン後者で妄想する(くどい
なにがどうなってそんな事態に陥ったかわからんが、
とにかくギリコのチェーンで捕獲されてるジャスティン…
歯を剥き、残忍でありつつ、でもどこか無邪気な笑みでもって
そんなジャスティンを眺めるギリコ。
………。
ブログでは…自重ε-(;ーωーA
に、しても、久々にサーチ行ってみたら…!
ギリジャスサイト様がふ、ふえてるぅ…!!; ̄ロ ̄)!!
冬コミとかどうなんだろう…!
一冊でもあるなら、今なら有明行けそうな気がする。
あの寒さに10年ぶりに立ち向かえる…気がする…!!
…立ち向かう前に、自分上げてない話とか書かなきゃね。
めっきりご無沙汰している方々へのご挨拶…頂いてるバトン…
ほんとうにすいません<(_ _)>
キュー○ーコーワ飲んでやるど!
いよいよ、デスサイズスがやってくる…!
え…じゃあ来来週には…もしかして…レーフ村行っちゃいますか?
ギリコさん出ますか?
ギリジャスですか…!!
それにしても、鬼神復活~神々の戦いのクオリティはやばかった。
定着しない皮膚…指、で、鬼神が床をひっかくシーンが
私的にかなりゾクゾクしました。制御しきれない体をなだめるような、
一連の動作。ああいう無音の幕間で、クオリティはだいぶ違ったものになる。
鬼神の声…、ちょっとハスキー?っていうのか?ああいう高めの声…
意外ではあったけど、あの声以外が思い浮かばないくらい
ハマってたと思う。完成度も高いし、声の違和感もほぼないし…。
DVD買おうかな…まじで…
あと、やはり死神様。
鬼神との戦闘後、死人先生と話しながら、
徐々に自分の中の昂りをしずめ、死武専の長としての
日常をとりもどそうとしているさまが口調にあらわれてて、
ほんと細かいとこまでつめてるな…、と思いました。
しかし、マカ達は、スピリットパパ曰く、
バスケで日常をとりもどそうとしてたけど、
死神様はそうした儀式的なものを介さずとも、自分を日常・非日常の
どちらかに置くことができるのですね。
博士の言と、死神様のセルフコントロール。
精神を安定させることが、職人としてのひとつの成長(ある意味では慣れ)
だとしても、マカ達には、まだまだ日常と異常との間で戸惑う幼さを残していて
ほしいと思うのでした。
明後日は会社の運動会~。
台風きてるらしいけど、無事開催になるんじゃろうか。
あと、ヒュプノス裏ですが。
書いてます。
でも冒頭でジャスティンがごねている状態であります。
自分の書く話は、導入部が長いと実感は、してるんですが…
えろすだしな…ごねるジャスティンはさくっと省いてしまうか…?
ちなみに、シャワーを使うか使わないかでごねてるらしい。
「ハア?シャワー?…おまえ、この状態で…」
「体を清潔にするのは、最低限のマナーではないですか」
「……」(無言で押し倒そうとするギリコ)
「……どうしても浴びたくないならかまいません。が、
それならば私も、口ではしませんからね」
「……!」
とんでもない脅し文句をつける前に、二拍分ほどとられた
沈黙の裏に、どんな思惑がひそんでいたかが分からないギリコではない。
妥協を示しつつ、実際には自分の意思を通そうとするこずるさ。
それも、腹が立つことに、この悪知恵は自分とこうした形で
接するようになって身につけだしたようなのだ。
「…わかった」
それが分かっていて、相手の言をいれてやる。
うっすらと口の端に浮かぶ笑み…それを数分後に歪めてやれることを
考えればこそ、できる行為であった。
にっこり微笑むジャスティンに送られて、寝室を出たギリコだったが、
脱衣所で服を脱ぐ時点で、ハタと手をとめた。
全裸はさすがに気がひけたので、ジーンズだけを履きなおし、寝室へ
とってかえす。と、いままさにポスン、と
ベッドに倒れこんだ様子のジャスティンが、掛け布を首元まで引き上げようと
しているところであった。
「…何してんだ、ジャスティン…」
「…チッ」
「チッってなんだ?!てめぇ体よく俺を追い出して寝るつもりだろ!」
「嫌ですね、ギリコさん。私はどんな約束でも、反故にしたりはしませんよ。
あなたとのそれなら、なおのことです」
「舌打ちしてたじゃねぇか…」
「幻聴ですよ」
…というかんじで…
もし、アップ時に本編にはいってたら読み飛ばしてください…
ずぅ……っと前に頂いてたコメントに、漸くお返事。
あと、同じくずぅ………っと前に頂いたバトンです。
こんな管理人で申し訳ありません…
鵙様から頂きました!
自己紹介バトン
・あなたの本名は?
メールでやりとりした場合・差出人名でお伝えできます(^^)
・何型ですか?
A型。でも整理整頓は嫌い。
・動物占いは何?
ペガサス。
と、とりあえず悪びれず遅刻はしないですよ(そうゆう特徴があるらしい)
開き直りはしても…。
・家族構成は?
父、母、弟×2。
下の弟最愛。
・あなたはどんな顔?
今までほぼ2、3は年上に見られてきたのですが、
しかし、最近実年齢が追いついてきたのか、相応か
もしくはちょっと若く見られるぞ(* ̄▽ ̄*)ノ"
・恋人いますか?
両手の指にあまるくらい。二次元のひとですが(思い込み)
・顔が好みだ!という異性の芸能人は?
S.te.phane La.m.biel
芸能人じゃないんですけどね。他に浮かばないので…
彼は芸術家なんですよ。
・一番好きな歌手は?(複数はダメ
小説BGMとゆう点では、元ちとせ。
・あなたの部屋はどんな部屋ですか?
本棚を。
目に付くところは、I波文庫と、学術書で、
いかにも勉強してます的にデザインしようとして失敗。
実際には漫画があふれている。
そんな本棚がある部屋です。
・何処の携帯使ってる?
エーユー。
長いお付き合いで基本代金は最低額(安さ自慢は関西人のサガ)
・ナンパされた(した)事ある?
まさかだろ…!
・モノを盗んだ事ある?
待ち合わせに遅れて、その間・友人の貴重な時間を盗みました。
・マイミクに親友いる?
どうかなぁ
・短気?
分かってることを言われた時は特に
・SとMなら、どっち?
M?Mは臆病なんだそうだ。
・コスプレ好き?
見るのは好き。
・人生の教訓になった本は?
教訓というか、影響された本は『三つの小さな王国』
・回してくれた人はどんなひと?
サイト別館をつくるきっかけをくださった方。
淡い色使いのイラストが素敵です。
・回してくれた人の色は?
暖色系のパステルカラー。レモンイエロー…かな。
・最後に次のイメージカラーの人にバトンを回してください。・
白→いまはない、某少年C版権サイト管理人様。今も昔も目標。
黒→セイ様。すべて包み込んでくれる黒のぬくもり。
赤→安部様。赤いアクセントがきいた、SE(むしろ神父)絵が素敵です。
青→レナ様。自然にしみいる、水のような文体の色。
橙→思いつかないので保留…
緑→まり様。お話してくださる内容とか、その話し方に引き込まれる深緑色。
桃→美桜様。軽やかな桜色…というイメージで。
黄→鵙様のイメージ色(に近い)なので欠番で…
紫→同保留…
受け取ってから長い間回答できず、すみませんでした。
バトンをまわす方。
イメージカラーで思いつく方を書かせていただきましたが、
バトンはよければ…というかんじで…。既に回答済みかもしれませんし;
すごい今更ですが。
もしジャスティンも、ババ・ヤガー攻略作戦に参加してたら…
という妄想をしてしまう最近です。
たぶん、本隊と行動するんじゃなくて、サポートのために別働隊として
潜入してるんだと思うんです。
こんなかんじで。↓
「……チッ」
最後のひと滴を舌の上でうけて、ギリコはさかさにしていたビンを投げた。
がしゃん、と床の上で割れたビンは、同じく無残な姿をさらす
ほかの酒瓶同様に、白い絨毯に新しい染みを広げていく。
だらしなく掛けていたソファから立ち上がり、部屋を見回す。
酒の臭いが満ちた部屋には、もう、あるべき形をとっているビンは無い。
すべて床の上で粉々になり、そしてそれは即ち、
ギリコの気分を一時的に鎮めてくれる酒、というクスリが、もう彼の部屋には
残っていないことをも示していた。
その事実を確認して、ギリコはもう一度、舌打ちをする。
酒を取りに行かせるため、【仮面】-城内での雑務を担当する、
黒のローブに仮面をつけた兵の総称-をつかまえようと部屋を出る。
が、ギリコの部屋の前から左右に伸びた廊下には、ひとりの【仮面】も
見当たらない。いちいち彼らを探すのも面倒くさいし、多少酒で温まった
体には、外から染み入る外気が心地よく感じられた。
そうこうで、ギリコは自ら食料貯蔵庫へと歩き出していた。
食料貯蔵庫にある、アルコール類保管棚。
普段なら、ワイン数種類、ウォッカなど…規模にしては豊富な
品揃えを備えているはずであったが、ギリコの連日の暴飲により、
そこにはもう、ウォッカのボトル(しかも小さなビン)しか残っていなかった。
最後のひとビンを取り、食料庫担当の【仮面】に、酒の補充を命じて、
自室に戻るべく歩き出す。
食料庫のある一階まで下りてくると、行きかう【仮面】の数も増える。
掃除用具を持って小走りで廊下を進む者。
洗濯物の山をかかえて、危なっかしく歩く者。
休憩時間なのか、広間の長机につっぷしている者。
それらを見るとも無く見ながら、進む。
彼の進行方向にいた【仮面】らは、ギリコに気づくやすぐさま道をあけ、
会釈をする。ギリコにとっては、慣れた光景。
それを前に、ふと、ギリコは足を止めた。
「おまえ」
鋭い三白眼を向けられて、
その視線の先にいる【仮面】らは、ざわめく。
つかつかとその中にわけいり、ひとりの腕を掴んで、
ギリコは高慢に、命じる。
「部屋が汚れてる。おまえ、掃除をしに来い」
ドアを開けて、まず連れて来た【仮面】を部屋に入れる。
ふだんのギリコでは、ありえない行動であるが、その【仮面】に
驚いた様子はない。通された部屋の惨状を確認して、
無言で仕事に取り掛かる。
ギリコのほうは、掃除をする【仮面】の横をつっきってソファに腰掛け、
ウォッカのビンを開けた。
「…新入りか、おまえ」
「はい。3日ほど前から」
「ツイてねぇな。今、死武専の奴らがココに潜入してるんだと」
「…そのようですね。でも、モスキート様や…ギリコ様も
いらっしゃいますし…」
「ふん…」
部屋に散乱したガラスの欠片を拾い集めた後、
予め取ってきていたモップで、丁寧に床を拭いていく。
ギリコはその仕事を肴に、酒を含む。
「ギリコ様、掃除が終わりました。ほかに御用がなければこれで」
「ああ…。じゃあ、ちょっと相手してもらうかな」
「お酒ですか?」
「あ?酒なんかもうねぇよ。溜まってるから相手しろって
言ってるんだよ、ジャスティン」
肩を揺らすくらいの反応は見せるだろう、そう思って口にした
単語だったが、【仮面】は動揺の欠片も見せない。
「ひとちがいをなされているようですね」
「いいや。間違いねぇ」
「少しお酒がすぎますよ」
「【仮面】なら、まず俺にそんな口はきかねぇよ。
それに、な」
「自分のオンナってのは、なんとなくわかるんだよ」
干したウォッカのビンを、足元に置いて、立ち上がる。
まだモップを手にしたまま、立ち尽くしている【仮面】の、
その名の由縁に手をかけた。
だが、その手は、あたまひとつ小さいその【仮面】に止められてしまう。
「諦めがついたか?」
勝ち誇ったようなギリコを見上げ。
【仮面】は、自分の顔を覆うそれを、自ら床に落とす。
「正体がどうこうよりも、勘違いを諫めてさしあげなくては」
ローブのフードも、肩に落とす。
ギリコにとって見慣れた、癖のある金髪と、蒼い瞳が現れる。
「誰があなたの『女』だと?」
これで、『睨み合いつつするキス』につなげたいな…!