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「すまん!」
「すみませんが…」

開口一番、申し合わせたように。
双子が口にしたのは、互いに謝罪の言葉であった。
へっ、と思わず顔をあげて、まじまじと互いに見詰めあう。

「いや、25日にだな、急な用事が…、その…、夜会にでる
 貴族さんの護衛だとかで」
「私も…、未処理の予算案書類がいまごろ見つかって、」

おどおどと、それぞれの謝罪の理由を口にする。
つまりは、こういうことらしい。
今年のクリスマスは、お互い予定が入って、共に過ごせない。

切り出すまでに、よほどの決心が要ったのだろう。
この日、バドがシドのもとを訪ねた刻限は、常よりも2時間ほど遅い
午後11時半。
それまで、彼は食事すら喉を通らない状態だった。

そしてそれは、シドも同じ。
どう切り出せば、かの人の機嫌を損ねずにすむか…、
そればかりを考えて、夕食もろくに喉を通らず。

「はは…」

クリスマスを共に過ごせない。

その程度で、食がほそくなるような2人ではない。
そこまでバカップルの域にも達していない(と思われる)
この双子が、この冬の聖なる祭を尊ぶ理由は…、
己らの運命を分けた、あの雪吹きすさぶ日にまで遡る。
その思い出を癒すため、クリスマスに限らず、
冬の日は共に温もりを分かち合う。
それが、2人の暗黙の誓いであり、復活を遂げてから
欠かさず遂行されてきた儀式、でもあった。

それが、初めて途切れる。

しかしそれは、悪いものではない。
よしんば2人の絆をほどくものでもない。
長く凍りついた2人の心が溶け出した証でもあり、
そして、

「ま、おまえを愛するのに、クリスマスも何も関係ないがな」
「ええ、1日間が空くのは残念ですけれど」

そして、これは、
2人の間で交わされる愛情表現が、
さらに豊かに、暖かく形を変えつつある証でもある、のだ。

あの冬の思い出が、2人で過ごす常春の思い出に変わりつつある。
それが、けして自分だけの思いではなかったのだ、と、………

「では、クリスマスのぶんも、今日甘えさせてもらおうかな」
「はあ…」

……これから確認しあう様子の2人であるらしい。

クリスマスに間に合わなかった。ので、
クリスマスの遥か前にあったと思われる2人のやりとり。
今年のクリスマスは、双子ちゃんは違う床についたそうですよ。

 

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幸せ気分満開です(*´∀`)
きゃあきゃあきゃあvvvv愛情爛漫な双子話ですわー!
クリスマスは一緒に過ごせない双子ですが「お前を愛するのにクリスマスは関係ない」と言い切っちゃうお兄ちゃんが、惚れてしまいそうな漢ですねっ!しかしその後の台詞にやはり兄は兄かと思ってしまったり・・(爆)
冬・・・、双子にとってはやはり特別な季節で、過去に起こってしまった出来事をそれでも受け止めて乗越えていこうとする二人に、そうそう!そうなんだよなー!!と改めて彼らに対する萌えを確認できましたっ!
六花さんのメリクリは過ぎてしまったけども、心温まる双子話に、身もだえするほどの甘い幸福を貰いましたー♪どうも有り難う御座いました<(__)>

そうそう、↓の双子チャットですが、やはり少しでも多くのバドシド好きさんと交流したいですよねー。本格的に実現できるように真剣に考えて行きたいと思います。
ではでは、もう少しで2006年も終わりますが、変わらずの双子愛を分かち合う同志として残り少ない今年、そして来年も宜しければ付き合ってやって下さいませ<(__)>
セイ URL 2006/12/26(Tue)21:58:13 編集
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