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10月8日発売 チャン.ピオ.ンC
『聖.闘.士星.矢 THE L.OST C.AN.V.AS 冥.王神.話』 (16)

しぬまで捨てられないであろう名作コミックの一の座を、
ウン十年しめる☆矢のスピンオフ作品です。

以前、キャラデザが原作と全く同じだ、もっと違いを出そうとか
言っておりましたが。うん…むしろそのせいで、シルエットだけで
これは○○座の聖闘士ね!とわかっちゃうからかえっていいのかもしれん。
16巻をつらねた今では、素直に楽しく読んでいます。

ざっくりあらすじ。
ギリシア神話に登場する、智恵と戦をつかさどる女神アテナ。
それと同時に彼女は、地上の平和をも守っている。
神話の時代から、彼女が守る豊かな大地を欲した神々は、
ことあるごとに彼らの軍を地上-アテナにさしむけてきた。
それを退けたのが、アテナに仕え、彼女を守る聖闘士たちである。
そして、現代…。
地上に降臨したアテナと、彼女を守る少年聖闘士らの戦いが始まる。

…と。
原作では、最後の戦いの相手が冥界の王ハーデスになっています。
彼こそが、アテナ最大の敵。アテナは彼の復活を予知し、
それに備えて、地上におりたったのです。
ハーデスとの戦いは、じつに243年ぶり。
冥.王神話は、この243年前の前聖戦を語っていくのです。

☆矢 
原作 では、双子座のサガが好きな六花ですが。
この冥.王.神話でも、うっかり双子座にときめいてしまった。
今生の双子座は、溶岩だって素手で従えるワイルドな俺様ですが、
初登場から今回(16巻)まで、上半身まっぱで通したあたり、
現代双子座のサガ様を彷彿とさせてくれます(サガ様=風呂好き、脱ぎたがり)。
デフテロスが好きだ…ついに双子座の聖衣をまとったので、
次巻あたり戦地に赴き、18巻末までには…たぶん…。
戦いを描くことで、生命の美しさ、信念、
そして己を全うすること(デフテロスの台詞から)をえがくこの作品。
それゆえに、登場するキャラクターが次々倒れていくのは
必然なのでしょうが…。

それから、この冥.王神.話、原作では、重要な人物でありつつ、
一度もその戦闘シーン(回想除く)が描かれなかった、射手座の聖闘士
活躍が描かれているのもまたよいです。
今生の名は、シジフォス。ギリシア神話に登場するテッサリア王の息子の名を
冠された青年です。シジフォス(神話の)と、その生き方がリンクするのかと
思いきや、そういうことも……(思い当たる点はなくもないが)……なく。
アイオロス(現代の射手座の聖闘士)との関係性から、
シジフォスの名を使ったのかな、というところ。
このシジフォス、自らの身を盾にして仲間を守り、鼓舞し続けて散っていきます。
死の間際、はじめてシジフォスがアテナを聖闘士以上の想いで見守ってきた
ことが明らかにされます。
シジフォスがアテナに対して抱いていた思い…それは、名前をつけるなら
愛としか表現できないもの。けれど、その愛には、幾多の感情が
含まれているのです。

シジフォスの、『聖闘士とは違う気持ちで』女神を守りたいと思った…
この台詞。では、聖闘士は、どんな気持ちで女神を守っているのだろう。
どんな思いで聖闘士を志したのだろう。いつ現れるともわからない
女神を、どんな思いで待ちつづけたのだろう。
愛とか使命とかでくくるはたやすいけれど、そうじゃないんだろう。

冥王.神話、原作の新たな一面をも発見させてくれる作品です。
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