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「さんさん…」
「りんりん…」
「しんしん、でしょうね」
雪。
窓にはりついて、サガはそれを眺めていた。
生まれて初めて見る雪に、相応しい音をつけるのだ、と、
そう言って。
「しんしん」
シドの提案を繰り返し、サガはひとつ頷く。
「そうだな、やはり…深く静かに降り積もるこれには、
しんしん、が相応しい」
そう言いながらも、新しい音を発見できなかったことが
悔しいのか、サガは窓際から動こうとしない。
シドはそんな男の姿を肴に、ひとりワインを傾ける。
ギリシャから遥々アスガルドへやってきて、
雪に音をつけている。
彼らしいと言えば彼らしいけれども。
そう考え、シドはもうひとりの『彼』を思い出す。
聖域という地上の楔を破壊し、アスガルドを滅ぼし
新しい秩序を創りあげる。
それだけを想って、それだけのために利用しようとした、彼のことを。
それぞれの神の加護を受け、甦ってから、
なんとはなく文を交わし、時々互いのもとを訪問する。
そんなゆるやかな時間が、サガとシドの間に流れ出して、はや2年ほど。
「すまない、夢中になっていた」
『ふたりきりだと、年甲斐もなくオドオドしてしまうのは何故だろう』
「いいえ。どうぞこちらへ。」
『傍にいてもらいたくて、ジリジリするのは何故だろう』
向かい合い、微笑んで、
ふたりの音が重なるまでは、まだ少し。
クリスマスのサガシド
…でした。
このふたりの場合、ふたりがふたりとも
後ろ向きなので、なかなか進展しないと思います。
黒サガが左側だと、我侭彼氏が彼女に甘えて困らせて、彼女は
それを手の上で転がして…という・サガシド像が浮かんできますが…
バドといい、フェンリルといい、黒サガといい、
シドには『言葉より行動』派な彼氏のほうが合うのかも。